半円状のうんていがわからない。
半円状のうんていがわからない。
半円、かまぼこ型とも言うべきだろうか。
百聞は一見にしかずとも言いますし、見てもらった方が早いでしょう。
コレです
何ですかコレ?
子供はコレに掴まってはしゃいで満足するかも知れないが、私はそうはいかない。
半円状のうんていに触れる前に、オーソドックスなうんていについて共通意識を持っておきたい。
はしごを寝かせたような形をし、懸垂してもよし、横向きに進んでもよし、上に登ってもよしの汎用性の非常に高い遊具。
汎用性だけに注目すれば、遊具界のエース滑り台に勝るとも劣らない。
コレがベーシックかつシンプリシティでワールドワイドなうんていだろう。
さて、本題に入ろう。
まずは半円状であるメリットについて考えてみたい。
なくね?
メリットなくね?
半円である必要、なくね?
半円うんていで出来て、ノーマルうんていで出来ない事が見つからない。
ノーマルうんていが半円うんていを包含している。
高校数学で言うなら
『半円うんてい∈ノーマルうんてい』
そもそも遊び方がわからないのである。
ノーマルうんていは明確なスタートとゴールがあらかじめ設定されている。
そして、一方からスタートし足をつけずにもう一方へ移動する。
そんな分かりやすいノルマがある。
だが半円うんていはどうだろう。
どこがスタートでどうすればゴールなのだろうか。
というより、ノーマルうんていメソッドを踏襲し、下面エリアで懸垂形式で遊ぶのが正解なのか、半円状特有の傾斜を利用し上面エリアで遊ぶのが正解なのか。
それすらわからない
下面エリアで遊んだとしよう。
ここでもノーマルうんていとの差が顕著に現れる。
下面エリアにおける遊具としての意義はぶら下がることの面白さにあるだろう。
だが、次の図を見て欲しい。
この図は半円うんていを真横から見た図である。
この赤いエリア。全体の1/2程度のエリア。
事実上の下面エリアである。
言い換えれば、ぶら下がって楽しい部分である。
このエリアよりも外側の白いエリアもぶら下がれないことは無い。
しかし、そのエリアではぶら下がる行為と並行して、脚を持ち上げるという行為が発生する。
赤いエリアでは「楽しさ」に傾いていた天秤が、白いエリアに入った途端に「鍛錬」に傾き始める。
以上の理由から半円うんていの下面エリアではノーマルうんていの下面エリアよりも楽しさのパラメータが約1/2になる。
つまり、楽しさおよそ50%減である。
子供にとって50%減とは信じられないほど莫大な損失となる。
かつての小遣いで買えてたはずのねるねるねるねが買えない。
一人一食配給された給食は途端に倍率2倍に跳ね上がる。
プールだって12.5mだ。
子供達は小さな三角のカップに水を入れることは二度と無く、毎日の給食争奪戦に命をかけ、息継ぎという概念を覚えることなく小卒となる。
つまり
下面エリアでは遊べない。
厳密に言えば、遊んだところでノーマルうんていとの差が明確になり、半円うんていを無能呼ばわりする子供が増えるだけである。
続いて上面エリアについて考えていきたい。
ノーマルうんていにおいて、上面エリアで遊ぶ子供は限られてくる。
自分の身長よりも高い場所を悠々と歩き回り、落ちる危険すら鑑みず、標高と比例するかのようにカーストの上位に位置する人材。
陽キャである。
初等教育における陽キャ。ドッジボールが強い男子又はブランド名を3つ以上知っている女子と言い換えて差し支えないだろう。
そいつらしか遊べなかった領域、上面エリアに半円うんていではお手軽に到達できる。
なんてローリスクハイリターンなんだ。
思わぬ所に半円うんていのメリットが存在した。
暗い児童生活に差し込んだ一筋の光。
陽キャと同じ景色を見ることのできる魔法のアイテム。
公共財のため利用料金はまさかのゼロだ。
半円うんていはそういう存在なのである。
私は少しだけ、半円うんていのことがわかった気がする。