風間トオルはリスクヘッジ能力が低すぎる。
「かすかべ防衛隊」を知っているだろうか。
臼井儀人の漫画「クレヨンしんちゃん」にて描かれる架空の街、春我部を防衛するために設けられたと思われる非営利団体である。
メンバーは野原しんのすけを筆頭に、風間トオル、桜田ネネ、佐藤マサオ、ボーちゃんの五名で組織されている。
野原しんのすけや桜田ネネなどの隊員にも露出癖や独裁者気質であるなど、問題点は山盛りであるが、今回取り立てて指摘したいのが、風間トオルである。
風間トオル。こいつは超弩級の危険人物であると予め断言しておきたい。
風間トオルのパブリックイメージは「真面目」「秀才」「お金持ち」「諫め役」など概ねこのへんであろう。
そして忘れてはならないのが、「アニメ、特段『ま・ほー少女もえP』の大ファンである」という点である。
ここが非常に問題なのだ。
男児が女児向けアニメを見ていることが問題なのではない。
私だってプリキュアくらい見るし、中学時代にはTwitterにてアニメアカウントを作り、プロフィール欄に好きなアニメをスラッシュで書き連ね、無意味にアニメキャラの誕生日を祝っていたりしたものだ。
自室には大量のもえPフィギュアが鎮座ましまし、もえPのカップでプスライトを飲んだかと思えば、もえPステッカーを片手にもえPコスチュームプレイをかましてくる。
小学校入学はおろか、幼稚園すら卒業していないいたいけな少年は齢5つにして、歪んだ性癖を持ち合わせてしまったのだ。
周りの幼稚園児は精通どころか「うんこ」「ちんこ」にすらドギマギしている最中、風間トオルは建前ではドギマギしながらも、内面では底知れない性癖マウンティングを取っている。
京都人ですら失禁してしまうほどの本音と建前だ。
そして周りが股間がいきり立つメカニズムすら理解していないにもかかわらず、風間トオルただ一人だけが自身の性感帯が耳であることを理解している。
もはやオタクなんて生半可な言葉では 形容できない。
親の財力をフル活用し、有り余る小遣いをもえPに全振りした結果生まれた歪性癖(わいせいへき)のキメラ。
それが風間トオルなのである。
しかし歪性癖なのはさほど問題ではない。
世の中には人知を超えた歪性癖がごまんと居る。
ただし、風間トオルとは明確な違いがある。
公表しているかそうでないか。
そして、克己心があるかどうかだ。
風間トオルがもえP好きであることを伝えた人間は家族のみである。(バレているかどうかは別として)
幼稚園の先生、友人だけでなく、かすかべ防衛隊のメンバーにすら伝えていない。
さらに言えば『アクション仮面』や『カンタムロボ』のような男児向けアニメが話題に上がった際も「僕はそんな子供向けアニメは見ない」と斜に構えた態度を取っている。
このことからわかる通り、風間トオルは人一倍プライドが高いのである。
そこまでプライドが高く、自分自身をよく見せたいにもかかわらず、野原しんのすけがアポなしで訪問してくることすら予見できず、自室に並べられたもえPフィギュアを眺めては口角を上げている。
その結果、野原しんのすけが不意に現れると、顔面蒼白になりながらもえPフィギュアを回収していく。
その姿は実に滑稽である。
そういった部分に圧倒的なリスクヘッジ能力の低さを感じるのだ。
私が声を大にして言うのにも理由がある。
風間トオルはとんでもない努力家なのである。
習い事として塾に行き、英会話を学んでいる。それも予習復習をきっちり行い、テスト勉強も欠かさないといった徹底ぶりである。
誰が見ても将来有望なのは明らかなのだ。
事実、「ターミネータVSしんのすけ」という回で未来からやってきた風間トオルは、東大に進学したと主張している。
風間トオルはエリートコースをひた走り、ゆくゆくは官僚そして内閣総理大臣へと昇り詰める人材である。
だから怖いのである。
日本国のトップに立ち、1億2000万人を従える人間がリスクを感知できないとなればそれは国家の滅亡を意味する。
それにあのプライドの高さである。
エリートとして人生を謳歌し、挫折を味わわなかった結果そこにあるのは民主主義でも委員会中心主義でもない。
狂った独裁体制である。
邪知暴虐の王として君臨した男風間トオルは幼少期に培われた建前を使いこなして瞬く間に大衆を煽動してしまう。
もはや国としての機能を失い、一種の宗教じみた空気さえ感じられるようになった日本は先進国という肩書が消えうせ、諸外国から
【Former Developed Country】
(かつての先進国)
という不名誉なレッテルを貼られてしまうのである。
「僕が全てなんだ」
そう言い放つ瞳にあの頃の輝きは無い。